クーペレーションカップ観戦レポート
《その道の名人上手が死力を尽くして戦う大きな棋戦には、スポーツとは別種の強い吸引力が存在するように感じられる。それは恐らく、一局一局、いや一手一手にすら人生がかかってくるという、劇ならざる劇の運命的な「一瞬」に牽きつけられるということでもあるのだろう。》
沢木耕太郎著『チェーン・スモーキング』より――
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2015年1月12日、東京レジャーランド パレットタウンにおいて、第13回クーペレーションカップが開催された。
ストリートファイター3rd strike 5on5の今大会において、最強の5名は誰か。それぞれのチームが覇を競う。
前日に行われた同キャラ推奨5on5「プレクーペレーションカップ」の熱気もそのままに、1次予選第1ターンから激戦が繰り広げられた。
▼一次予選、5タテ、5タテで勝ち上がる強豪たち
注目チームのひとつが、『(^q^)<エンジョイ勢ですがナニか?』(トミナガ、ボス、デルン、ミモラ、アイク)。前日のプレクーペレーションカップで優勝した5名のうち、トミナガ、ボス、ミモラがこのチームに属している。
だがこの3人は1次予選で出る幕はなく、アイクとデルンが5タテで勝利している。
ちなみにアイクが撲殺した『高円寺脱法BOYZ』は、期待の新鋭「ユウキ」(アメリカ人で日本語ペラペラ、そしてヨーヨー世界チャンプ!)が属する。「アイクVSユウキ」の対戦カードでは、ユウキがEXマシンガンに対し痛恨の赤ブロミス。悔しい敗退となった。
また『だんご3兄弟~Forever~』チームでは、2012年に新潟へ帰郷したロクが、長男として大会に復活。久々の3兄弟共演だ。
1次予選に出たロクは、「花火」の異名を持つ大昇龍を初戦でガードされ、『ムーゲージャム』のえーふぉーに一本を先取される。
しかしロクはすぐさま次のラウンドを取り返し、そのまま5タテ。後ろで見守るチームメイト、ヌキからは、これまた久々に「確反のロク!!」と歓声があがった。
『だんご3兄弟~Forever~』に属するもう ひとりのプレイヤーは、いぶき全一と名高いヒガ。ヒガいぶきも予選で5タテを成し遂げ、ストレートで二次予選へ駒を進めた。
2度に渡って5タテを成し遂げたチームといえば、『勧善懲悪』。マツケンとふろがそれぞれ5タテを決め、速攻で一次予選を勝ち抜いた。
▼二次予選、まさかの展開
ワイルドカードを挟み、2次予選がスタート。初戦注目カードは『K.Oファミリー』対名古屋Q2をホームとする『オーバーキル田中の青春』(こくじん、ヒロちゃん、雪男、ナガ、宵闇)。
先に大将を出すことになったのは『K.Oファミリー』。やっくんたった一人が、こくじん、宵闇、雪男を倒さなければならない状況だ。
やっくんはこれをやってのけた。フルカウントでこくじん相手に絶唱でダウンを取り、起き攻めに遠距離大パンチ。ゲージ3マックスのダッドリー相手に、強気の選択肢を押し通す。
続く宵闇を葬り、大将―大将戦の雪男にも幻影コンボを完走して勝利。『K.Oファミリー』が2次予選2回戦へ進んだ。
そして『だんご3兄弟~Forever~』対『(^q^)<エンジョイ勢ですがナニか?』も2次予選注目カード。
だんご3兄弟・長男ロクがアイクを下し、出てきたのはトミナガまこと。
トミナガはアイクの仇討ちとばかりに長男ロクを倒すと、次男ヴァナヲも撃破。ストッパーとして立ちふさがるヌキにも競り勝ち、ヒガを唐草で絞め落とす。最後はトクラをトミコアで粉砕。
『(^q^)<エンジョイ勢ですがナニか?』が、2次予選2回戦へ進出を決める。
一方、2回戦に進んだ『K.Oファミリー』は、波乱に直面していた。
対戦相手は『Where is Genxa?』(元気、F、たいへー、yohei、精密神せーくん)
以下が対戦の結果だ。
『K.Oファミリー』―『Where is Genxa?』
RX(UR)○―×yohei(CH)……
RX(UR)×―○せーくん(RE)……RXがガー不連携ミス、流れがせーくんに。
K.O(YA)○―×せーくん(RE)……一本目はK.O。二本目はせーくんが下ブロしゃがみ中P安息で取り返すが、三本目はK.OがP勝ち
K.O(YA)○―×エフ(DU)
K.O(YA)○―×たいへー(UR)
K.O(YA)×―○元気(AL)……元気がブロから中KレイドでK.Oを下す
あつし(IB)×―○元気(AL)……EXエルボースパキャンレイドで元気勝利
ピエロ(RE)×―○元気(AL)
やっくん(YU)×―○元気(AL)……再びEXエルボースパキャンレイドで元気勝利
各キャラの全一クラスプレイヤーを揃えた『K.Oファミリー』が、2次予選でトーナメントから姿を消した。
筐体の反対側で『Where is Genxa?』が歓声を上げるなか、『K.Oファミリー』には重い空気が漂っていた。
やっくん、RX、あつし、ピエロが立ち上がり、その場を後にする。
残ったK.Oは、放心しているかのように、ひとり同じ場所から動かない。
その目は、虚空を見つめているかのようだった。
『Where is Genxa?』、決勝トーナメント進出。
▼決勝トーナメント
8チームが勝ち上がった決勝トーナメント。これ以降はすべての試合がすでにtwitchにて生中継されているため、対戦結果のみ記録する。
1回戦第1試合
『マスターコース』対『Where is Genxa?』
ラオウ(CH)○―×yohei(CH)
ラオウ(CH)○―×たいへー(UR)
ラオウ(CH)○―×せーくん(RE)
ラオウ(CH)○―×エフ(DU)
ラオウ(CH)×―○元気(AL)
ゲームセンター嵐×―○元気(AL)
キャベツ(KE)○―×元気(AL)
1回戦第2試合
『勧善懲悪』対『ONE SHOT, ONE KILL』
ふろ(YA)○―マサ(Q)
ふろ(YA)○―ロリ(DU)
ふろ(YA)○―LUKA(MA)
ふろ(YA)○―チャンス(MA)
ふろ(YA)○―ウラケン(GO)
1回戦第3試合
『(^q^)<エンジョイ勢ですがナニか?』対『埼玉7軍(補欠組)』
アイク(DU)○―×タクロー(KE)
アイク(DU)○―×マギー(CH)
アイク(DU)○―×スギノ(DU)
アイク(DU)○―×けら(MA)
アイク(DU)×―○ヒヤシンス(YU)
ボス(KE)○―×ヒヤシンス(YU)
1回戦第4試合
『モリカワ軍団』対『団地妻さゆり』
モリカワ(KE)×―○茶々(DU)
もと(YU)○―シカロビン(RE)
もと(YU)○―フタナ(UR)
もと(YU)○―てる坊(YU)
もと(YU)×―○キタガワ(KE)
かし(KE)×―○キタガワ(KE)
なめろう(YU)×―○キタガワ(KE)
MOV(CH)○―×キタガワ(KE)
準決勝第1試合
『マスターコース』対『勧善懲悪』
ラオウ(CH)×―○SHO(YU)
キャベツ(KE)×―○SHO(YU)
ゲームセンター嵐(GO)○―×SHO(YU)
ゲームセンター嵐(GO)○―×マツケン(KE)
ゲームセンター嵐(GO)×―○くに(RY)
にっと(YU)○―×くに(RY)
にっと(YU)×―○ふろ(YA)
力丸(CH)○―×ふろ(YA)
力丸(CH)○―×マッチ(GO)
準決勝第2試合
『モリカワ軍団』対『(^q^)<エンジョイ勢ですがナニか?』
かし(KE)○―×アイク(DU)
かし(KE)○―×トミナガ(MA)
かし(KE)×―○ボス(KE)
モリカワ(KE)×―○ボス(KE)
MOV(CH)○―×ボス(KE)
MOV(CH)○―×デルン(YU)
MOV(CH)○―×ミモラ(MA)
決勝戦
『マスターコース』対『モリカワ軍団』
ラオウ(CH)×―○もと(YU)
ゲームセンター嵐×―○もと(YU)
キャベツ(KE)○―×もと(YU)
キャベツ(KE)○―×モリカワ(KE)
キャベツ(KE)○―×かし(KE)
キャベツ(KE)○―×MOV(CH)
ファイナルで優勝したのは『マスターコース』。KOFやスパ4シリーズなど多くの格闘ゲームで活躍するキャベツが、怒涛の4タテでチームを優勝に導いた。
キャベツの最後の選択肢は、リープ→中足EX波動迅雷。削り殺すための連携だ。
迅雷の暗転と同時に、静まり返る会場。そしてK.Oの文字が画面に表示されると、会場にはギャラリーたちと『マスターコース』チームメイトの雄叫びが響き渡った。
▼終幕
第13回クーペレーションカップのすべての行程が終わった。
優勝チーム、準優勝チームの表彰。そして最後に、実行委員長・松田店長がマイクを握った。
「来年もまた、お会いしましょう」
昨年は82ものチームが出場。しかし今年はさらに多くのチームが、パレットタウンに集まった。
稼働から15年以上経つ3rd strike。その盛り上がりは、とどまるところを知らない。
来年も、クーペレーションカップは開催されるのだろうか?
開催されるとするならば、どんなチームが組まれ、どんなドラマが生まれるのか。
「3rd最強」と言われる男、ヌキが着ていたTシャツの背中にはこんな文字が記されていた。
"A million fighters history
Battle continues forever"
戦いは、続く。
(文中はすべて敬称略)